第64回『鋳物の街川口を行く』
~まちのゆくえ~
--このイベントは終了しました--
2009年11月14日(土)開催
吉永小百合主演の映画「キューポラのある街」の舞台として知られる川口。
今回は鋳物の街として知られるその川口を訪ねます。以前は町を通ると赤さびたトタン板の鋳物工場がつづくところでしたが、近年、その工場で残っているものは数少なく、マンションに姿を変え、街並みも大きく変化してきました。 今回の訪問の中心は金山町、それに本町の江戸期の日光に続く日光御成街道の本一通り周辺です。
辺りには地域のまもり神である川口神社のほか、工場で働いた人たちの生活を支えた米屋、理髪店、食料品店などの建物、鋳物関連の建物などが残っています。
そのうちのひとつ、旧鋳物問屋「鍋平」の居宅として現在登録有形文化財となっている川口市母子福祉センター。美しいベネチアンガラスの使用されたトイレや手洗い、廊下の欄間などは見ものです。近くの川口宿の本陣跡の重厚な門、川口の鋳物の近代化を担った永瀬邸の洋館を背後にした川口初の発電所、さらに川口の鋳物の歴史もわかる文化財センター、徳川幕府ゆかりの錫状寺も見学します。また、荒川という舟運、江戸という大消費地を控えた川口は良質な麦がとれ味噌や醤油の醸造業も盛んで、田中徳兵衛(4代目)はこうした事業の展開で大きな財を成し政財界で活躍しましたが、その住居、県下有数の大邸宅旧田中家住宅も訪ねます。近代の産業と都市を考える良い機会になると思います。
伊豆井 秀一
埼玉県立近代美術館学芸主幹。埼玉県立博物館勤務の後、美術研究の傍ら埼玉県下の社会美産(パブリックアート)の調査と研究もてがけ、その成果を彩の国、埼玉県の公共空間へパブリックアートを導入するプロジェクトのまとめ役として活躍するなど、長年埼玉県の芸術文化事業を推進。1949年生。
詳しくは当会発行の地域美産研究会Newsをごらんください。