第54回『北鎌倉心(こころ)塾』
心の美産研究会-Ⅳ特別企画
--このイベントは終了しました--
2008年06月21日(土)開催
鎌倉は、源頼朝の鎌倉入り(1180年10月)以来、歴史の積み重ねによる美産たちの古都で、その礎は、源・北条武家文化とその基底をなす鎌倉臨済宗の禅文化に有ります。今回の美産会は、心の美産研究会シリーズそのⅣ『北鎌倉心』と題し、日本の公徳心(Public Manner)発祥の源を北鎌倉に尋ねる企画です。12世紀の中頃、北条時宗の請により南宋から渡来した臨済宗高僧、無学祖元が、僅か18才で日本の最高指導者となり蒙古襲来に対峙した時宗の心をどう導いたか。それが、日本の武士道/公徳心の形成、侘びさび文化の結実にどう繋がったかを、鈴木大拙「禅と日本化」、網野善彦「蒙古襲来」他を引用しながら解説し、円覚寺・東慶寺等にゆかりの美産たちを普段は非公開の美産を含めて訪ねる、座禅・茶礼・往時を偲ぶ精進料理体感という特別催事です。南宋から渡日以降、この国ならではの禅に昇華した日本の禅学と禅修行は、Adolfo Nicolas(イエズス会第30代総長)をして“ 禅や黙想で「自分より大きなもの」を体験。「和」があれば事は自然と進むことを日本で学んだ”(朝日新聞08/4/29朝刊)と言わしめる極みに達し、その思索が、蒙古襲来殉死者を敵味方区別なく弔う為、円覚寺を創建した無学祖元と北条時宗の発願に結実したと言えます。現代に生きる人と国が、日本と外国を問わず己の利を優先させ争っている今、我国が苦難の歴史から産み出した「和」と「自立」を尊ぶ心への敬意と伝播が、今世紀の地球に生きる人と国夫々の生存を決める鍵になりそうです。
第一部 研究会:杉村荘吉が網野善彦「蒙古襲来」、鈴木大拙「禅と日本文化」、新渡戸稲造「武士道」等を引用しつつ、鎌倉時代の社会状況、臨済宗円覚寺派の禅学と禅の修行が、「蒙古襲来」に対峙する若き執権、北條時宗の精神をどう整えたか、日本の武士道と公徳心、詫びさび文化創出の基がこの時代に有ること、近代の円覚寺管長も又、日本の政治・経済・文化指導者(鈴木大拙、吉田茂、松下幸之助等)の心の安寧に大きく貢献してきた事も併せて紹介。
第2部 探訪会:円覚寺山内に時宗公廟所、仏光国師開山塔、東慶寺に鈴木大拙居士墓所・松ヶ岡文庫等を、愛甲 茂氏(浄名禅会世話人)、伴 勝代女史(松ヶ岡文庫)、杉村荘吉等の案内/解説で参訪。円覚寺山内では仏殿に「文永・弘安此彼両軍戦死溺諸精霊」位牌、東慶寺では非公開の松ヶ岡文庫を鈴木大拙先生書斎を含めて拝見。
第3部 円覚寺山内:松嶺院禅会参加 : 松嶺院でお昼を頂戴した後、14時から始まる同院の在家入信者を対象とする、輿俊哲老師のご指導による「浄名禅会」へ特別参加。普段は体験する機会が殆ど無い臨済禅宗円覚寺派寺院の在家信者対象の説教・座禅・茶礼の会を体感。
交歓会:精進料理銘亭「鉢の木」が特別に用意する鎌倉期に類する(但し現代人に合うようアレンジ)精進料理を、ご亭主の解説付きで濁り酒と共に頂戴。
絵地上記の催事は、昼の部(第1~3部)、夕の部(第4部)どちらかへの参加も可能(詳細3頁)。
杉村 荘吉
Public Art Forum地域美産研究・探訪会世話人会代表。バーバラ・サンドリッセ(環境美学研究家)の「パブリックアートとしの鳥居、その不思議な魅力」翻訳を機に、鳥居とその向うに見える日本の美と暮らしに惹かれ、平成14年その価値を殆ど意識することのなかった地域の社会文化遺産を、再発見する「地域美産研究・探訪会」立上げる。著書「パブリックアートは街を語る」東洋経済新報社 他。
詳しくは当会発行の地域美産研究会Newsをごらんください。