第38回『新渡戸稲造「武士道」の普遍性と国際性を英語版に尋ねる‐その1』
日本人の心の美産研究会:PA研究所代表杉村荘吉の企画構成
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2006年08月23日(水)開催
東京青山パブリックアート研究所
8月23日(水)18時~20時
日本の人々は、四季の変化が激しくその気候環境が産み出す季節感と収穫物の豊かさ、周囲を海で囲まれ隣国の侵略を受けにくいなど、この国特有の自然環境での暮らしが、外の国々と少々異なる感性や倫理感を育んできた。「自然を慈しむ」「モノの哀れ」「身を慎む」「恥を知る」「始末する」等々。
欧米諸国が他国の植民地化に狂奔した18~19世紀、日本のエリートたちは、これら外国の進出を「国を愛する心」の下に生命を賭けて防ぎ、必死に対等国として遇される努力を続けた。彼らの多くは、その志向の源泉を、欧米人が「聖書」に求めた代わりに、『武士道』に求めた。
いま改めて新渡戸稲造の「武士道」を読むと、この国に生きた人々の自律自尊の心の清清しさと美しさをヒシヒシと感じる。だが、ここ数年来の日本では、親子兄弟、友人を平気で傷つける人々、電車の中で自分勝手な行動で他人に迷惑をかける老若男女と、それを咎めようとしない人々、近隣諸国の不当なクレームに目先の利益の為に目をつむる政治家や経済人などがその数を増している。戦後の家庭・学校・社会教育などの場で、「心の育成」を欠いてきたツケが今効いてきたのだろうか。
この読書会は、日本の人々が暮らしの歴史を通して練り上げた自律自尊の精神を、心の美産として捉え、その普遍性と国際性を新渡戸稲造の「武士道」英語版に尋ね、再認識する会です。このことに関心を抱く人々が、年齢、性別、人種、宗教、職業の別を超えて学び合い語り合う会になれば幸いです。第一回目の今回は、本の概要、新渡戸の経歴、新渡戸と日本が置かれていたその当時の国際環境等を、江川さんの解説をまじえて学びます。会の進行は日本語で行いますが、必要に応じて英語を使います。
杉村荘吉 企画構成
パブリックアート研究所代表。バーバラ・サンドリッセ(米国環境美学研究家)の「パブリックアートとしの鳥居、その不思議な魅力」の翻訳を機に、鳥居とその向うに見える日本の美と暮らしに魅せられ、平成14年、地域ならではの暮らしが作り出した社会文化美産を再発見・再評価する「地域美産研究・探訪会」を同志と設立、世話人会代表就任。以後37回の研究・探訪会を通じて、会員達の社会貢献志望の実現、開催地の街おこし・人づくり等に尽力。著述「パブリックアートは街を語る」東洋経済新報社、他。
江川淑夫 解説
江川国際研究所所長。戦後日本の海外事業開拓者の一人として、ミネベア、コニカ等の欧米販路開拓、国際金融、企業買収等に従事。現在は、財界の国際リスクマネジメントアドバイザー等で活躍。芸術、歴史への造詣も深く、帯鉤(古代中国・スキタイ騎馬族の装飾品)の世界的収集研究家。今回の「武士道」研究会では、新渡戸稲造と当時の日本が背負った国際情勢などを解説する予定。著書に「上に立つ者の条件」ダイヤモンド社、他。
詳しくは当会発行の地域美産研究会Newsをごらんください。